Author Archive

ふるさと納税制度について

2026-09-30

ふるさと納税とは?仕組みと利用する際のポイントを簡単に解説 

最近、お客様からふるさと納税に関するご質問をいただくことが多くあります。 

「ふるさと納税」という言葉は聞いたことがあるけれど、実際にどのような制度なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。 

今回は、ふるさと納税の基本的な仕組みと、利用する際のポイントについて簡単にご紹介します。 

ふるさと納税とは? 

ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄附をすることで、一定の限度額まで、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。 

例えば、自治体に5万円を寄附した場合、一定の条件を満たせば、4万8,000円が所得税・住民税から控除されます。 

そのため、実質的な自己負担額は2,000円となります。 

また、自治体によっては、寄附のお礼として地域の特産品などの返礼品を受け取ることができます。 

いくらまで寄附できる? 

ふるさと納税には、所得や家族構成などに応じた「控除上限額」があります。 

この上限額を超えて寄附した場合、超えた部分については原則として税金の控除を十分に受けることができません。 

そのため、ふるさと納税をする際には、まず自分の控除上限額を確認することが大切です。 

控除上限額は、 

  • 給与収入・事業所得などの所得金額 
  • 配偶者や扶養親族の状況 
  • 社会保険料 
  • 生命保険料控除 
  • 医療費控除 

などによって変わります。 

特に個人事業主や会社経営者の方は、所得が毎年変動することがあるため、年末の所得状況を確認しながら寄附額を決めることをおすすめします。 

控除を受けるには? 

ふるさと納税をしただけでは、自動的に税金が安くなるわけではありません。 

主な方法は2つあります。 

① ワンストップ特例制度 

確定申告をする必要がない給与所得者などで、一定の条件を満たす場合には「ワンストップ特例制度」を利用できます。 

原則として、寄附先の自治体が5団体以内であることなどが条件です。 

② 確定申告 

個人事業主の方や、医療費控除などで確定申告をする方は、確定申告によってふるさと納税の控除を受けることになります。 

確定申告をする場合には、ワンストップ特例を利用していたとしても、ふるさと納税についても申告する必要があります。 

ふるさと納税をする際の注意点 

ふるさと納税は、上手に利用すれば税負担を抑えながら自治体への寄附や返礼品を受けられる制度ですが、いくつか注意点があります。 

特に重要なのが、「寄附できる金額」と「控除を受けられる金額」は同じではないという点です。 

控除上限額を超えて寄附すると、自己負担額が2,000円を超える場合があります。 

また、住宅ローン控除や医療費控除など、他の所得控除・税額控除を利用している場合には、控除上限額に影響することがあります。 

ふるさと納税限度額の確認方法 

グーグルなどの検索サイトにて、「ふるさと納税 限度額」と検索するとふるさと納税サイトが見つかるかと思います。そのサイトに、会社員の方は「給与収入」、個人事業主の方は「利益」を入力してみましょう。個人事業主の方は売上を入力するのではない点が、ポイントです。 

<会社員の方> 

昨年の源泉徴収票などを基に、「給与収入」を入力します。 

<個人事業主の方> 

今年の事業の状況から、売上ではなく、経費などを差し引いた残りである「利益(所得)」を入力します。 

年の途中の場合、今年の1月~12月分の金額を見積り入力することが大切です。 

まとめ 

ふるさと納税は、自治体への寄附を通じて、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。 

一方で、控除を受けられる金額には上限があるため、「自分はいくらまで寄附して大丈夫なのか」を確認してから利用することが重要です。 

特に個人事業主や中小企業の経営者の方は、所得や各種控除によって上限額が変わりやすいため、年末の所得状況を確認しながら寄附額を決めるとよいでしょう。 

こちらの事務所では、ふるさと納税をはじめ、所得税・法人税・消費税など、税務に関するご相談を承っております。 

「自分の場合はいくらまでふるさと納税をしてよいのか」など、具体的なご相談もお気軽にお問い合わせください。 

代襲相続人とは?

2026-09-01

代襲相続人とは何か

代襲相続人とは、本来相続人になるはずだった人が、相続開始以前に死亡していたり、一定の理由で相続権を失っていたりする場合に、その人の子が代わって相続する人をいいます。
たとえば、父が亡くなったとき、本来であれば子が相続人になります。しかし、その子が父より先に亡くなっていた場合、その亡くなった子の子、つまり父から見れば孫が代わって相続人になります。これが代襲相続です。

この制度は、相続人となるはずだった人の家系に相続の権利を引き継がせるためのものです。もし代襲相続がなければ、本来その家系が受け取るはずだった財産が、他の相続人だけに移ってしまうことになります。代襲相続は、そうした不公平を避ける役割を持っています。


代襲相続が起こるケース

代襲相続が発生する代表的なケースは、相続人となるはずだった人が被相続人より先に死亡している場合です。
また、相続欠格や廃除によって相続権を失った場合にも、代襲相続が認められることがあります。

一方で注意したいのは、相続放棄をした場合です。相続放棄をした人は、最初から相続人でなかったものとみなされるため、その子が代襲相続人になることはありません。ここは誤解されやすいのでご注意ください。


誰が代襲相続人になれるのか

代襲相続人になれる人は、誰でもよいわけではありません。
まず、被相続人の子が相続人となる場合、その子が先に亡くなっていれば、その子の子、つまり被相続人の孫が代襲相続人になります。さらに、孫もすでに亡くなっている場合には、ひ孫へと再代襲が認められます。つまり、直系卑属については下の世代へ順に引き継がれていきます。

これに対して、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるケースでは、その兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合、その子、つまり被相続人の甥や姪が代襲相続人になります。ただし、兄弟姉妹の場合は一代限りで、甥や姪の子にまで再代襲は認められません。

この違いは実務上とても重要です。子の系統では再代襲があるが、兄弟姉妹の系統では一代限りです。


代襲相続人の相続分

代襲相続人の相続分は、本来その人の親が受け取るはずだった割合を引き継ぎます。
たとえば、被相続人に子が2人いて、そのうち1人がすでに亡くなっており、その亡くなった子に2人の子どもがいたとします。この場合、生きている子が2分の1、亡くなった子の系統が2分の1を受け取り、その2分の1を孫2人でさらに等分します。つまり孫はそれぞれ4分の1ずつ相続することになります。

代襲相続人は、単に「おまけで入る人」ではなく、法律上きちんと相続人として扱われます。そのため、遺産分割協議にも参加する必要がありますし、相続税の検討でも重要な存在になります。


代襲相続で注意したいポイント

代襲相続では、戸籍の確認が非常に重要です。誰が先に亡くなっているのか、その人に子がいるのか、再代襲があるのかを正確にたどる必要があるためです。相続関係が複雑になるほど、戸籍収集に時間がかかることも少なくありません。

また、相続放棄と代襲相続を混同しないことも大切です。先ほど触れたとおり、放棄した人の子には代襲相続は起こりません。さらに、遺言の内容によっては、法定相続とは異なる財産の分け方になる場合もあるため、代襲相続人に該当するかどうかと、実際にどの財産を取得するかは分けて考える必要があります。


まとめ

代襲相続人とは、本来相続人になるはずだった人に代わって相続する人のことです。主に、子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合に問題となります。
ポイントは、子の系統では孫・ひ孫へと再代襲があり得る一方、兄弟姉妹の系統では甥・姪までの一代限りであること、そして相続放棄では代襲相続が起こらないことです。

相続は家族関係によって結論が大きく変わる分野です。代襲相続人の仕組みを正しく理解しておくことで、誰が相続人になるのかを整理しやすくなり、遺産分割のトラブル防止にもつながります。

退職金の税金における注意点を解説

2026-07-31

中小企業の退職金制度とは?節税メリットや注意点を税理士が解説

退職金制度は、従業員の福利厚生というイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、中小企業においては、人材確保だけでなく、会社や経営者の節税対策としても重要な役割を果たします。

一方で、「退職金制度を導入したいが、どの制度を選べばよいかわからない」「退職金は経費になるのか」「役員退職金で節税できると聞いたが本当なのか」といったご相談も多くいただきます。

今回は、中小企業の退職金制度について、税務上のメリットや注意点を含めて解説します。


退職金制度とは

退職金とは、従業員や役員が退職する際に、その功績や勤続年数などに応じて支給される金銭です。

法律上、退職金制度の導入義務はありませんが、多くの企業では就業規則や退職金規程を整備し、制度を設けています。


中小企業が退職金制度を導入するメリット

1. 人材の確保・定着

退職金制度は、福利厚生の充実につながり、採用時のアピールポイントになります。

また、長期間勤務するほど退職金が増える仕組みにすることで、離職率の低下も期待できます。

2. 福利厚生の充実

退職後の生活を支える制度があることで、従業員の安心感や会社への信頼感が高まります。

3. 会社の節税につながる

退職金は、適正な金額であれば法人税法上の損金となります。

特に利益が大きく出た年度や、役員の退任時には、多額の退職金を支給することで法人税負担を軽減できるケースがあります。

ただし、税務上「不相当に高額」と判断された部分は損金に算入できないため、金額の妥当性が重要です。


退職金は受け取る側にも税制上のメリット

退職金は給与とは異なり、「退職所得」として課税されます。

退職所得には退職所得控除が設けられており、さらに控除後の金額の原則2分の1が課税対象となるため、同じ金額を給与や賞与として受け取る場合に比べて税負担が軽くなることが多いのが特徴です。

例えば、役員へ3,000万円を賞与として支給した場合と、適正な退職金として支給した場合では、会社・個人双方の税負担に大きな差が生じるケースがあります。


役員退職金は事業承継・世代交代にも有効

中小企業では、代表取締役の交代や親族への事業承継に合わせて役員退職金を支給するケースが少なくありません。

役員退職金には、

  • 法人では損金となる可能性がある
  • 個人では退職所得として税負担が軽減される
  • 経営者個人の老後資金を確保できる

というメリットがあります。

そのため、事業承継を検討する際には、株式の承継や相続対策と併せて退職金の支給を検討することが重要です。


中小企業で利用される主な退職金制度

中小企業退職金共済(中退共)

中小企業で最も利用されている制度の一つです。

会社が毎月掛金を納付し、退職時には中退共から従業員へ退職金が支給されます。

主な特徴は、

  • 掛金は全額損金(法人)または必要経費(個人事業)
  • 国が運営する安心感
  • 一定の要件で助成制度が利用できる
  • 管理の負担が比較的少ない

などが挙げられます。

毎月一定額を積み立てながら節税も図れるため、退職金制度を初めて導入する企業にも適しています。


役員退職金で注意すべきポイント

役員退職金は節税効果が期待できますが、金額を自由に設定できるわけではありません。

税務調査では、

  • 最終報酬月額
  • 在任期間
  • 功績
  • 同業他社との比較

などを踏まえ、「不相当に高額」でないかが確認されます。

また、株主総会等で正式な決議を行い、議事録を保存しておくことも重要です。


節税目的だけで退職金を設定するのは危険

「利益が出たから退職金を支給して税金を減らそう」と考える経営者もいますが、節税だけを目的として金額を設定すると、税務上認められないリスクがあります。

退職金は、

  • 退任の事実があること
  • 支給額に合理性があること
  • 社内手続が適切であること

が重要です。

税務上の要件を満たしたうえで制度を活用することが、結果として安全かつ効果的な節税につながります。


まとめ

退職金制度は、人材確保や福利厚生だけでなく、中小企業にとって有効な節税対策の一つです。

特に役員退職金は、法人・個人双方に税務上のメリットがある一方で、支給額や手続きを誤ると損金不算入となる可能性もあります。

退職金制度は「支給するとき」ではなく、「制度を設計するとき」から税務を意識することが重要です。

こちらの事務所では、退職金制度の導入支援、中小企業退職金共済(中退共)の活用、役員退職金の適正額シミュレーション、事業承継を見据えた退職金対策など、中小企業の状況に合わせたご提案を行っております。

退職金制度や節税対策についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

不動産を売却した際の取得費とは

2026-06-30

取得費とは?不動産売却時に押さえておきたい基本と具体例

不動産を売却したときの譲渡所得は、売却代金そのものに課税されるわけではありません。
税額計算のベースになるのは、売却によって得た収入から、その不動産の取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。

ここで重要になるのが取得費です。取得費とは、土地や建物を手に入れるためにかかった金額をいい、単なる購入代金だけではなく、取得時に必要となった各種費用や、その後に支出した設備費・改良費なども含まれます。

また、建物については購入金額や建築代金の全額がそのまま取得費になるわけではなく、原則として減価償却費相当額を差し引いた後の金額が取得費となります。

譲渡所得の計算方法

不動産を売却した場合の譲渡所得は、次の考え方で計算します。

  • 売却金額(収入金額)
  • から取得費を差し引く
  • さらに譲渡費用を差し引く

つまり、取得費が適切に把握できているかどうかで、最終的な譲渡所得の金額が変わることになります。
そのため、どの支出が取得費に含まれるのかを正確に整理しておくことが大切です。

取得費の基本的な考え方

取得費には、主に次のようなものが含まれます。

  • 土地や建物の購入代金
  • 建物の建築代金
  • 仲介手数料などの購入時費用
  • 設備の設置にかかった費用
  • 資産価値を高めるための改良費

ここでいう「取得に要した金額」とは、資産そのものの代金に加え、その資産を取得するために直接必要だった支出を含めた金額を指します。

設備費とは

設備費とは、不動産を取得した後に新たに付加した設備にかかった費用のことです。
たとえば、一定の設備を後から設置し、その資産の利用価値を高めたような場合が該当します。

改良費とは

改良費とは、取得後に行った工事や整備のうち、通常の修繕を超えて資産の価値や機能を高めるための支出をいいます。
単なる維持管理のための修繕費とは区別して考える必要があります。

取得費に含まれる主な支出

取得費に算入できる代表的なものとして、次のような費用があります。
ただし、すでに事業所得や不動産所得などの必要経費として処理しているものは、取得費に重ねて含めることはできません。

  • 不動産取得時に納めた登録免許税、登記費用、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税
    ただし、業務用資産については、これらの税金が取得費に含まれない場合があります。
  • 賃借人がいる土地や建物を取得する際に、明渡しのために支払った立退料
  • 土地の埋立て、土盛り、地ならしなどに要した造成費
  • 土地の測量費
  • 所有権その他の権利を確保するために必要となった訴訟費用
    たとえば、権利関係に争いのある土地を取得した後、その紛争を解決して所有権を確定させるためにかかった費用などがこれに当たります。
    ただし、相続財産の遺産分割をめぐる訴訟費用は取得費にはなりません。
  • 建物付き土地を購入し、当初から土地利用を目的としており、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合の建物購入代金や取壊費用
  • 不動産取得のための借入金利子のうち、その不動産を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分
  • 既存の購入契約を解除して別の物件を取得することにした場合に支払う違約金

土地を売却するための立退料や建物取壊費用はどう扱う?

土地を売却するにあたり、借家人に立退料を支払ったり、建物を取り壊したりするケースがあります。
このような支出が必要経費になるのか、それとも取得費になるのかは迷いやすいポイントです。

結論として、これらの費用は譲渡所得の計算上、取得費として控除されると考えられます。
一方で、不動産所得の必要経費として処理するものではありません。
なぜなら、これらは賃貸経営のための支出ではなく、土地を譲渡するために必要となった支出だからです。

通達上の考え方

税務上も、一定の場合には次のような整理が示されています。

  • 建物付き土地を取得し、当初から土地利用を目的としていて、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合
    → 建物の取得に要した金額と取壊費用の合計額は、土地の取得費として取り扱う考え方があります。
  • 土地や建物の取得にあたり、その不動産を使用していた人に支払った立退料など
    → その土地や建物の取得費として扱う考え方があります。

遺産分割に関する訴訟費用・弁護士費用

相続に関連して発生する費用でも、すべてが取得費になるわけではありません。
特に、遺産分割をめぐって相続人同士が争い、その解決のために支出した訴訟費用や弁護士費用は、一般に相続人間の紛争対応のための支出と考えられます。

そのため、こうした費用は通常、取得費には算入されません。

贈与・相続・遺贈で取得した不動産の取得費

不動産を購入ではなく、贈与・相続・遺贈によって取得した場合でも、一定の費用は取得費に含めることができます。

対象となる取得原因

  • 贈与
  • 相続
  • 遺贈

算入できる費用の考え方

受贈者や相続人などが、その資産を取得するために通常必要と認められる費用を負担している場合には、取得費に含められる可能性があります。
ただし、すでに必要経費として処理済みのものは除かれます。

具体例

たとえば、次のような費用は取得費に含められる代表例です。

  • 登記費用
  • 名義変更にかかる費用
  • 登録免許税
  • 不動産取得税

概算取得費を使う場合の注意点

譲渡所得の計算で概算取得費を適用する場合には、相続登記費用や名義変更費用などを個別に取得費へ加算することはできません。
実額で計算するのか、概算取得費を使うのかによって扱いが変わるため、注意が必要です。

借地権の取得費

借地権についても、取得費には権利金のような明確な対価だけでなく、契約や利用のために支出した一定の費用が含まれます。

主なものは次のとおりです。

  • 借地契約や転貸借契約の締結、更新、更改にあたり、借地権の対価として土地所有者または借地権者に支払った金額
  • 土地上の建物などを取得した場合に、その購入代価のうち借地権の対価に相当すると認められる部分
  • 借りた土地を改良するために行った土盛り、地ならし、埋立てなどの整地費用
  • 借地契約の締結に伴って支出した手数料その他の費用
  • 建物の増改築にあたり、土地所有者または借地権者に支払った費用

なお、建物等の購入代価のうち借地権相当額が、おおむね建物購入代価の10%以下である場合には、あえて区分せず建物の取得費に含める取扱いが認められることがあります。

まとめ

取得費は、不動産売却時の譲渡所得を計算するうえで非常に重要な要素です。
購入代金だけでなく、税金、立退料、造成費、測量費、一定の訴訟費用、取壊費用など、取得や利用のために直接必要だった支出が含まれる場合があります。

一方で、遺産分割に関する争いの費用のように、取得費に含まれないものもあります。
また、相続や贈与で取得した不動産、借地権のように、ケースごとに判断が分かれる論点も少なくありません。

中小企業における投資促進税制とは?

2026-05-31

中小企業における投資促進税制の活用 

「設備投資をしたいけど、税金負担が気になる…」そんな中小企業経営者に活用されているのが「中小企業投資促進税制」です。 

この制度を利用すると、設備投資を行った際に、30%の特別償却または7%の税額控除を受けることができます。特にIT企業、製造業、建設業、運送業、美容室、飲食店など、設備投資が発生する業種では非常に使いやすい制度です。 

この記事では、中小企業投資促進税制の仕組み・対象設備・節税効果・注意点をわかりやすく解説します。 

中小企業投資促進税制とは? 

中小企業投資促進税制とは、中小企業の設備投資を支援するための税制優遇制度です。 

一定の設備を購入した場合、 

  • 特別償却30% 
    または 
  • 税額控除7% 

を適用できます。 

中小企業庁によると、制度の適用期限は2027年3月31日まで延長されています。 (中小企業庁) 

対象となる企業 

対象となるのは、主に以下のような中小企業です。 

  • 資本金1億円以下の法人 
  • 青色申告法人 
  • 従業員1,000人以下の個人事業主 

どんな設備が対象? 

代表的な対象設備は以下です。 

機械装置 

  • 1台160万円以上 

ソフトウェア 

  • 70万円以上 

測定工具・検査工具 

  • 120万円以上 

普通貨物自動車 

  • 一定条件あり 

内装・器具備品 

  • 条件により対象 

例えば、 

  • サーバー 
  • 業務システム 
  • POSレジ 
  • CADソフト 
  • 製造機械 
  • フォークリフト 

なども対象になるケースがあります。 (中小企業庁) 

特別償却と税額控除の違い 

① 特別償却30% 

通常より多く減価償却できる制度です。 

例えば300万円の設備なら、 

  • 30% 
    → 90万円 

を初年度に追加償却できます。 

利益を圧縮できるため、法人税の節税につながります。 

② 税額控除7% 

法人税そのものを減額できます。 

例えば300万円の設備なら、 

  • 7% 
    → 21万円 

を法人税額から直接差し引けます。 

なお、税額控除は「資本金3,000万円以下」の法人等が対象です。 (中小企業庁) 

どちらを選ぶべき? 

一般的には、 

利益が大きい会社 

→ 特別償却 

利益がそこまで多くない会社 

→ 税額控除 

が有利になることが多いです。 

ただし、 

  • 今後の利益予測 
  • 赤字繰越 
  • キャッシュフロー 

によって最適解は変わります。 

税理士とシミュレーションするのがおすすめです。 

実際の節税シミュレーション 

例:300万円のサーバーを導入した場合 

特別償却30% 

  • 追加償却:90万円 

法人実効税率30%の場合、 

  • 約27万円の節税効果 

になります。 

中小企業経営強化税制との違い 

よく比較される制度に「中小企業経営強化税制」があります。 

こちらは、 

  • 即時償却 
    または 
  • 税額控除10% 

が可能な、さらに強力な制度です。 (中小企業庁) 

ただし、 

  • 経営力向上計画 
  • 工業会証明 
  • 認定手続き 

などが必要になるため、手続きは複雑です。 

一方、中小企業投資促進税制は比較的利用しやすいのが特徴です。 

注意点 

中古資産は対象外 

原則として「新品」が対象です。  

赤字企業では効果が薄いことも 

利益が出ていない場合は、節税効果を十分活かせないケースがあります。 

まとめ 

中小企業投資促進税制は、中小企業の設備投資を支援しながら税負担の軽減を図ることができる有効な制度です。対象設備を取得した場合、30%の特別償却または7%の税額控除を選択できるため、企業の財務状況や利益計画に応じた活用が可能です。 

ただし、節税効果だけを目的として設備投資を行うのではなく、生産性向上や業務効率化、DX推進など、将来の事業成長につながる投資であることが重要です。設備の種類や取得時期、企業規模によって適用要件が異なるため、事前に制度内容を十分確認する必要があります。 

また、中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制では適用要件や優遇内容が異なるため、どちらが自社にとって有利なのかを比較検討することも欠かせません。 

設備投資は企業の成長戦略と節税対策を両立できる重要な経営判断です。制度を有効活用するためにも、投資計画の段階から税理士などの専門家に相談し、自社に最適な活用方法を検討しましょう。 

80%控除、70%控除、50%控除、30%控除とは?令和8年度税制改正で3段階→5段階に変更

2026-04-30

インボイス制度の経過措置「80%控除・70%控除」とは?

~令和8年度改正で3段階から5段階へ。実務への影響も解説~

インボイス制度の導入により、「免税事業者との取引」における消費税の取り扱いは大きく変わりました。

従来は、請求書の形式に厳密な要件はなく、一定の帳簿保存があれば仕入税額控除を受けることができました。しかし現在は、原則として「適格請求書(インボイス)」がなければ仕入税額控除は認められません。

問題となるのが、免税事業者の存在です。免税事業者はインボイスを発行することができないため、そのまま取引を続けると、買い手である課税事業者側で仕入税額控除ができず、結果として税負担が増加します。

この急激な負担増を緩和するために設けられたのが「経過措置」です。


経過措置の基本的な考え方

経過措置とは、インボイス制度の導入直後における混乱や急激な税負担の増加を防ぐため、一定期間に限り「免税事業者との取引でも一部の控除を認める」という特例制度です。

つまり、本来であれば控除できないはずの消費税について、段階的に控除できる割合を減らしながら、最終的には完全に控除できなくするという“ソフトランディング”の仕組みになっています。

当初は3段階での縮小が予定されていましたが、令和8年度税制改正により、より緩やかな5段階へと変更されました。


改正後の控除スケジュール

控除割合は以下のように段階的に引き下げられます。

  • 令和5年10月1日~令和8年9月30日:80%控除
  • 令和8年10月1日~令和10年9月30日:70%控除
  • 令和10年10月1日~令和12年9月30日:50%控除
  • 令和12年10月1日~令和13年9月30日:30%控除
  • 令和13年10月1日以降:控除不可(0%)

制度開始からしばらくは「8割控除」が認められるため、実務への影響は限定的に見えるかもしれません。しかし、この割合は確実に引き下げられていくため、中長期的には無視できないコスト増となります。

特に「50%→30%」のタイミングでは、体感としての負担増が一気に大きくなるため、ここが一つの転換点になります。


具体例からイメージ

例えば、免税事業者に対して税込110万円(消費税10万円相当)を支払った場合を考えてみます。

  • 80%控除 → 8万円控除できる(2万円がコスト)
  • 70%控除 → 7万円控除(3万円がコスト)
  • 50%控除 → 5万円控除(5万円がコスト)
  • 30%控除 → 3万円控除(7万円がコスト)
  • 0% → 控除なし(10万円すべてコスト)

このように、同じ取引でも時期によって実質負担が大きく変わる点が重要です。


誰に影響があるのか?

この制度は主に以下の2者に影響します。

① 免税事業者

インボイスを発行できないため、取引先から不利な条件を提示される可能性があります。

② 課税事業者(買い手)

控除できない分がそのままコスト増となるため、経営に直接影響します。

特に課税事業者側の影響が大きく、仕入先の選定や価格交渉のあり方に変化が生じます。


実務で起こる変化(かなり現実的な話)

現場レベルでは、すでに次のような動きが出ています。

  • 「インボイス登録してもらえませんか?」という要請
  • 消費税相当額の値引き交渉
  • 免税事業者との取引縮小・見直し
  • 新規取引時にインボイス登録の有無を確認

つまり、インボイス制度は単なる税務論点ではなく、「取引条件」に直結する制度です。


免税事業者側の判断ポイント

免税事業者にとっては、次の選択を迫られます。

・課税事業者になる(インボイス登録)

メリット:取引継続・信用維持
デメリット:納税負担・事務負担の増加

・免税のまま継続

メリット:税負担なし
デメリット:値下げ圧力・取引減少リスク

特に控除割合が50%・30%になると、取引先からの圧力はかなり強まる傾向があります。


見落としがちな論点「1億円上限」

今回の改正では、経過措置の適用に関する上限も見直されました。

  • 改正前:1つの免税事業者からの仕入 10億円
  • 改正後:1億円

これは、大企業による意図的な節税スキームを防ぐための措置です。

ただし、この金額規模はかなり大きいため、中小企業ではほぼ該当しません。実務上は「気にしなくてよいケースが大半」といえます。


実務上の重要ポイント「帳簿保存」

意外と見落とされがちですが、非常に重要なのが帳簿要件です。

経過措置の適用を受けるためには、単に支払いをしているだけでは足りません。

帳簿に以下の内容を記載・保存する必要があります。

  • 取引相手が免税事業者であること
  • 経過措置の対象取引であること

これが不十分な場合、税務調査で控除が否認されるリスクがあります。


今後の実務対応

これからの対応は「一律対応」ではなく、取引先ごとの整理がカギになります。

例えば、

  • 重要な取引先 → 関係維持を優先
  • 金額が大きい先 → 交渉・見直し検討
  • 代替可能な先 → 切替検討

といったように、戦略的に判断する必要があります。

また、早い段階で方針を共有しておくことで、後々のトラブル防止にもつながります。


まとめ

今回の改正により、経過措置の期間は延長され、急激な負担増は緩和されました。

しかし、最終的には控除ができなくなる点は変わりません。

つまり、

  • 「今は大丈夫」ではなく
  • 「将来確実に影響が出る制度」

です。

そのため、

  • 価格転嫁
  • コスト構造の見直し
  • インボイス登録の検討
  • 取引先の再整理

といった対応を、段階的に進めていくことが重要です。

インボイス制度は、税務だけでなく経営判断そのものに影響を与える制度です。経理部門だけに任せるのではなく、営業・経営層も含めた全社的な対応が求められます。

消費税3割特例とは?

2026-03-31

「小規模事業者の消費税3割特例」─インボイス後の新しい負担軽減策とは

インボイス制度への移行に伴う経過措置である「2割特例」は令和8年分で終了となります。その後の令和9年分の申告から「3割特例(小規模事業者向け・消費税3割特例)」とする経過措置がスタートします。

この記事では、税理士の視点から、この新しい3割特例の内容・対象者・計算方法・注意点をわかりやすく解説します。

1. 小規模事業者向け「3割特例」とは

3割特例とは、小規模な個人事業者の消費税負担を大幅に軽減するための新制度です。納税負担を売上の2割に抑える「2割特例」は、令和8年分(2026年分)の申告をもって終了します。その後の経過措置として、以下の「3割特例」が導入される予定です。

• 売上に含まれる消費税 × 30% → 納税額

• 売上に含まれる消費税 × 70% → 仕入税額控除として認める

という非常にシンプルな仕組みです。

2. 対象となる事業者

この制度は 小規模な個人事業者に限定されます。

現時点での主な対象要件は以下の通りです。

• 個人事業者であること(法人は対象外!!)

• 基準期間(2年前)の年間売上が1,000万円以下

• インボイス登録している課税事業者

3. 計算方法(非常に簡単)

具体例

売上:500万円(税抜)

消費税:50万円

→ 納税額:50万円 × 30% = 15万円

→ 控除される仕入税額:35万円

4. 2割特例との違い

これまで適用対象となっていた「法人」が対象外となります。

5. メリット・デメリット

✔ メリット

• 消費税の納税額が大幅に減る

• 経費の消費税を細かく集計する必要がない

• 原則課税・簡易課税の選択に関係なく使える

• 2割特例終了後の負担増を緩和できる

✔ デメリット

• 実際の仕入税額が多い事業者は不利になる

• 法人は対象外

• 売上規模の上限を超えると使えない

6. 簡易課税制度とは

3割特例における計算方法に似た、仕入税額を計算する方法として、簡易課税制度が利用できます。

簡易課税とは、中小事業者の消費税の納税事務負担を軽減するための制度で、売上にかかる消費税額に「みなし仕入率」を掛けて仕入れにかかる消費税額を簡単に計算できる方法です。通常の原則課税では、実際の仕入れにかかる消費税を細かく計算・管理して控除しますが、簡易課税では業種ごとに定められたみなし仕入率を使うため、仕入れにかかる消費税の計算や帳簿管理が大幅に簡素化されます。

7. 3割特例制度と簡易課税制度を比較!

3割特例は「売上消費税の30%だけ納税」という制度です。
一方の簡易課税は業種ごとに「みなし仕入率」が決まっており、実質負担率が変わります。そのため、業種ごとに有利不利を判定する必要があります。下記が、業種ごとに比較した結果となります。

【比較】簡易課税VS3割特例

事業区分主な業種簡易課税の実質負担有利となる制度
第1種卸売10%簡易課税
第2種小売20%簡易課税
第3種製造・建設30%同じ
第4種飲食40%3割特例
第5種サービス50%3割特例
第6種不動産60%3割特例

結論としては、卸売・小売の場合は、簡易課税を選択。製造・建設の場合は変わりません。飲食・サービス・不動産の場合は、3割特例を選択することが有利となります。

8. まとめ:小規模個人事業者にとって強力な恒久的支援策

令和8年10月から始まる3割特例は、小規模な個人事業者、インボイス登録済み、経費の消費税が少ない業種にとって非常に有利な制度です。

2割特例の終了後も継続して負担を抑えられるため、仕入れなどの経費が少ない小規模個人事業者については、適用されることをお勧めします。要件を満たす場合には、適切に利用し節税対策を進めましょう。インボイス制度は導入後も毎年のように制度改正が行われており、非常に複雑化しています。弊所では、関与先様が不利益を被らないよう、以下のサポートを行っております。

  • 最新の税制改正に基づいた納税額シミュレーションの実施
  • 「原則課税・簡易課税・3割特例」の最適な選択に関するアドバイス
  • 各種届出書(簡易課税選択届出書等)の作成および提出代行

中小企業の「30万円未満」少額減価償却資産特例とは?制度の仕組みと実務上の注意点

2026-02-28

設備投資を行ったとき、「これは一括で経費にできるのか、それとも減価償却が必要か」と迷うことは多いのではないでしょうか。

通常、10万円を超える資産は固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却を行います。しかし、中小企業や個人事業主には、一定の要件を満たすことで取得年度に全額を経費処理できる特例があります。それが「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」です。


制度の概要

この特例は、青色申告を行っている中小企業者または個人事業主が対象です。

次の3つの要件を満たす場合に適用できます。

  1. 青色申告をしていること
  2. 1資産あたりの取得価額が30万円未満であること
  3. その年(事業年度)の合計額が300万円までであること

これらを満たせば、本来は数年にわたって減価償却する資産でも、取得した年度に全額を損金または必要経費に算入できます。

なお、30万円未満の判定は経理方式によって異なります。税込経理を採用している場合は税込金額、税抜経理の場合は税抜金額で判定します。

制度の根拠は、法人の場合は租税特別措置法第67条の5、個人の場合は租税特別措置法第28条の2に定められています。現在は令和8年3月31日までの取得分が対象とされています。


通常の減価償却との違い

通常の減価償却では、例えば20万円のパソコンを購入した場合でも、耐用年数に応じて数年かけて費用化します。しかしこの特例を使えば、取得年度に20万円全額を経費にできます。

そのため、利益が出ている年度に設備投資を行うことで、課税所得を圧縮する効果があります。資金繰りや節税対策の観点からも活用価値の高い制度といえるでしょう。


法人と個人で異なる手続き

法人の場合

法人が適用を受けるには、法人税の確定申告書に

・別表十六(七)
・適用額明細書

を添付する必要があります。特に別表十六(七)「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書」の添付漏れがあると、特例が認められない可能性があります。形式的な要件ですが非常に重要です。

個人事業主の場合

個人の場合は別表の提出はありません。その代わり、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に必要事項を記載します。

・少額減価償却資産の取得価額の合計額
・特例を適用する旨
・明細を別途保管している旨

資産名は「少額減価償却資産」、償却方法は「少額」と記載するのが一般的です。明細書は提出不要ですが、税務調査に備えて必ず保存しておきます。


見落としやすい重要ポイント

① 償却資産税の対象になる

この特例を使うと帳簿上は固定資産計上しませんが、償却資産税の対象から除外されるわけではありません。

償却資産税は市町村が課税する固定資産税の一種で、毎年1月31日が申告期限です。帳簿に計上していないため申告漏れになりやすく、実務上もっとも多いミスの一つです。

② 300万円は「年間合計」

300万円の上限は1資産ごとではなく、年間の合計額です。期末に設備投資が集中すると上限を超える場合があります。超えた部分は通常の減価償却になります。

③ 事業専用割合に注意

自宅兼事務所などで使用する場合は、事業使用割合に応じて按分計算が必要です。100%事業用でない場合は、全額をそのまま経費にできるわけではありません。


まとめ

少額減価償却資産の特例は、中小企業や個人事業主にとって非常に使い勝手のよい制度です。取得年度に一括経費化できる点は大きなメリットですが、金額基準や年間上限、申告書への記載、償却資産税の対応など、実務上の留意点も多くあります。

制度を正しく理解し、取得時点から管理を徹底しておくことが、否認や申告漏れを防ぐポイントです。設備投資のタイミングを検討する際にも、この特例の活用を視野に入れておくとよいでしょう。

青色事業専従者給与ってなに?

2026-02-01

青色事業専従者給与について

個人事業主にとって、家族に支払う給与を経費にできる「青色事業専従者給与」は、非常に強力な節税制度です。しかし、制度の理解不足や手続き漏れにより、税務調査で否認されるケースが多い項目でもあります。この制度を上手く利用するために青色事業専従者給与の基本から、実務で特に注意すべきポイントまで解説します。下記にもありますが、提出期限が適用を受けたい年の3月15日までとなるため、2026年分の適用に向け、早めに準備しておきましょう。


1. 青色事業専従者給与とは

青色申告者が、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与を、一定の要件を満たす場合に限り必要経費にできる制度です。通常、家族への給与は経費になりませんが、この制度を使うことで節税効果が期待できます。


2. 青色事業専従者として認められる要件

青色事業専従者となるためには、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 青色申告者と生計を一にする親族であること
  • 年齢が15歳以上(その年12月31日現在)
  • その年の6か月超、事業に専ら従事していること

※ 他に本業がある場合、専ら従事していないため原則不可(学生も学業が主のため原則不可)


3. 必要経費にするための手続き

青色事業専従者給与を経費にするには、事前に届出書の提出が必須です。

● 提出書類:「青色事業専従者給与に関する届出書」

● 提出期限:「適用を受けたい年の3月15日まで」 

※新規開業・新たに専従者が発生した場合:発生から2か月以内

また、青色事業専従者給与を活用する際は、「節税ありき」で制度を使わないことが重要です。税務署は形式だけでなく、実態が伴っているかを重視します。例えば、業務内容が曖昧なまま高額な給与を設定している場合や、勤務実態を説明できない場合は、税務調査で否認されるリスクが高まります。そのため、日々の業務内容を簡単にメモしておく、業務分担を明確にしておくといった対応が有効です。

さらに、青色事業専従者給与を支払うことで、専従者本人には給与所得が発生します。その結果、住民税や社会保険の加入判定に影響する場合もあります。特に配偶者の場合、配偶者控除・配偶者特別控除が使えなくなるケースもあるため、世帯全体で見た税負担を事前にシミュレーションしておくことが大切です。

節税効果だけで判断するのではなく、事業の実態・家計全体への影響を踏まえて制度を選択することで、青色事業専従者給与は「安心して使える節税策」になります。


4. 給与額の決め方

給与額は、労務の対価として相当であること(適正額)が必要です。

● 適正額の考え方

  • 同業他社の給与水準
  • 実際の勤務時間・職務内容
  • 事業規模とのバランス

税務調査では、「過大ではないか」が最もよく指摘されるポイントです。同様の仕事をしていても、親族に対する支払いのため、通常の従業員と比べ過大な水準と判断されるケースなどでは、その超過部分は必要経費として認められない可能性があります。


5. 実務で特に注意すべきポイント(税務調査で狙われやすい)

① 届出書の未提出

提出がない場合、全額が必要経費として否認されます。

② 実際に支払っていない

帳簿上だけの計上は不可。銀行振込など、支払事実が確認できる形が記録を残しておきましょう。

③ 給与額が働きぶりに見合っていない

実際の勤務時間が少ない場合や、他の仕事をしている、事業規模に比べて給与が高すぎる場合は否認される可能性があります。

④ 給与支払簿・源泉徴収の不備

給与支払簿の未作成、源泉徴収漏れ、年末調整の誤りなどがある場合は作成しておきましょう。青色事業専従者給与も一般の給与と同様、源泉徴収義務があります。

なお、令和8年度では月額105,000円未満まで、源泉徴収税額は発生しません。(令和7年度は月額88,000円未満)


6. 白色申告との違い

白色申告の場合、家族への給与は経費にできませんが、代わりに事業専従者控除が使えます。

区分青色申告白色申告
家族給与の経費算入可能(要件あり)不可
控除制度なし配偶者86万円、その他50万円まで控除可
届出必要不要

7. 青色事業専従者給与を活用すべきケース

  • 家族が事業にフルタイムで関わっている
  • 事業規模が大きく、労務負担が明確
  • 所得分散による節税効果が見込める
  • 家族への正当な対価を明確にしたい

8. まとめ

青色事業専従者給与は、個人事業主にとって非常に有効な節税手段ですが、要件・手続き・実態の3点が揃って初めて認められる制度です。制度を正しく理解し、利用することで節税しましょう。

不動産を売却した際の譲渡費用とは

2025-12-31

譲渡所得の計算である譲渡費用について項目ごとに解説いたします。

譲渡費用とは

譲渡費用は、所得税基本通達33-7に定められています。

所得税基本通達33-7
法第33条第3項に規定する「資産の譲渡に要した費用」(以下33-11までにおいて「譲渡費用」という。)とは、資産の譲渡に係る次に掲げる費用(取得費とされるものを除く。)をいう。

(1)資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用
(2)(1)に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地(借地権を含む。以下33-8までにおいて同じ。)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用
(注) 譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれないことに留意する。

資産を売るために「直接かかった費用」のことです。
譲渡所得は次の式で計算します。

譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)

つまり、譲渡費用は税金を計算する際に差し引ける費用です。

主な譲渡費用の例

不動産を売った場合

  • 仲介手数料(不動産会社に支払ったもの)
  • 売買契約書の印紙税
  • 建物の取壊し費用(売るために行った場合)
  • 測量費・境界確定費用
  • 立退料(売却のために支払ったもの)
  • 売却に伴う広告費

株式・投資信託などの場合

  • 売却時の売買手数料
  • 証券会社に支払った諸費用

譲渡費用に含まれないもの(重要)

次のようなものは原則、譲渡費用になりません。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 修繕費・リフォーム代(維持・管理目的のもの)
  • 引っ越し費用
  • 所得税・住民税
  • ローンの利息
  • 税理士費用

※「売るために直接必要だったか」が判断基準です。

「売るために直接必要だったか」と判断できれば、弁護士費用、旅費交通費なども譲渡費用として認められる場合があります。

質問が多いので、ちょっと説明すると
最初に掲げた所得税基本通達33-7の注意書きにあるように、修繕費・リフォーム代・ハウスクリーニング費用は譲渡費用には該当しません。維持・管理目的ではなく有益なリフォーム費用等は譲渡費用に該当する可能性があると思います。例えば、買主の要望等による修理が必要だった修繕費などは「売るために直接必要だったか」と判断できます。

なお、冷暖房設備などのエアコンの購入代金などリフォーム費用のうち設備費又は改良費に該当する部分は、譲渡費用ではなく、取得費になります。

取得費との違い

  • 取得費:買ったときにかかった費用購入代金
     例)購入代金、購入時の仲介手数料、登記費用
  • 譲渡費用:売るときにかかった費用
     例)売却時の仲介手数料、印紙税

※取得費が不明な場合

古い不動産などで購入した際の資料がない場合は、概算取得費という計算方法があります。

売却価格 × 5%

を取得費として使えます(税法上認められています)。

実額が分かるなら実額の方が有利なことが多いです。

不動産会社に支払う仲介手数料は、取得時に支払ったものは取得費になり、譲渡時に支払ったものは譲渡費用になるので注意してください。収入印紙も取得時に支払ったものは取得費になり、譲渡時に支払ったものは譲渡費用になります。

実務上の注意点

  • 領収書・契約書は必ず保管
  • 売却と直接関係があることを説明できるようにする
  • 不明な費用は「取得費か譲渡費用か」で迷いやすい

確定申告でお急ぎの方はお電話にてお問い合わせいただけます。事前にお問い合わせしていただければ、土日祝日も対応いたします。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

« Older Entries

keyboard_arrow_up

電話番号:046-801-9975 問い合わせバナー 事務所概要・アクセス